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タンナー工場で皮から革への仕事を私が体験した時のお話 その2

2023・07・22






前回から、私が体験したタンナー工場のお仕事の難しさや大変さについてお話させて頂いております。

すべての工程を順番通り体験させて頂いたわけではありませんが、体験させて頂いた工程を私の感覚でお伝えしています。

今回は、その2のお話です。


次の体験は、前回の洗浄や毛抜きの工程の次の工程です。

私が体験した時の皮は北海道のエゾ鹿だったのですが、全工程で余分な物を洗浄し毛抜きは終わっていますが、皮には余分な脂身(人間でいう皮下脂肪かな?)があります。

それを大きな機械のまわるローラー2本の間に皮を挟み、引っ張りだして脂身をそぎ取る工程です。


二人で作業しました。私の体験した中では一番汚れる工程でした。

まず知って頂きたいのは、完成した革でも一枚は結構重さがあります。この工程は前回の次ですので、水を存分に吸っています。革はとても水を吸います。

二人がかりですが、私はビックリしました。物凄く重いです!ズシッ!!と腰にきます。

それを下側のローラーの上に、なるべくシワのないようにおきます。

この時点で既に重労働です。


そして一人がペダルを踏むと、皮は上の刃の付いた高速回転しているローラーとの間に挟まれます。

そこから皮を二人のいきを合わせて引き抜きます。

これが想像を超える大変さです。滑らない手袋、滑らない長靴は履いています。

ですが、動物の脂は凄いです。すごく滑ります!

しっかり皮を持っていても、機械に引き込まれます。足も引きずられます。

滑って一人の手から皮が離れたら直ぐにもう一人も手を離さないと、機械に巻き込まれてしまいます。とても危険です。

コツは二人のいきを完全に合わす事です。


機械が古く調子が悪かったのもありますが、15分ぐらいで人を交代していきます。

交代したときには、握力は全くありませんでした。

腰、膝はガクガクしていました。(笑)

この工程を交代しながら4時間ほどで終了しましたが、その後私はもう何もできませんでした。


この工程は、革製品を製作している私には知りませんでしたし、一つの工程でこんなに大変なのかと痛感しました。

その後も次の為に機械を掃除するのですが、機械とその周りは脂だらけです。

掃除だけでも丸一日かかりました。


この時正直思いました。【普段買って使っている革は安いのではないか!】と。



次の体験は、ある程度の工程が終わった革を干していく作業です。

この時の干す革は、馬革でした。大きさがあります。

当然干す革ですので濡れています。


まず一枚持った感覚は30キロ近くの重さに感じました。

それを、地面につけると汚れるので気を付けながら、私のギリギリ手の届く竿にシワが出来ないように干していきます。

今ではかなり一回の枚数は減ったそうですが、350枚ぐらいありました。

もう想像できると思います。大変という言葉では足りません。過酷です!

腰を痛める方が多いそうですが、痛めない方が不思議です。

季節は真冬の2月で、乾かす為に窓は前回ですが、顎から汗がおちました。



このように何点かの工程を体験させて頂きました。

素人の私が出来る、まだ簡単で体力が続く工程だけです。

もっと大変な工程は沢山ありました。


体験させて頂いて思ったのは、【なんて大変なんだろう!】です。

普段私が革製品を製作する時、極力いい部分を切り取って使い、端切れは何も考えず置いています。

でもその端切れも、タンナー職人さんの大変な努力が詰まっています。

革を購入する時、値段で判断して高いと思うことがたたありましたが、体験してからは逆に安すぎるのではないかと感じています。


革製品を購入される方、そして革製品を製作される方にタンナーさんの仕事を少しでも知っていただき、革という素材への想いを少しでも深めて頂けたら幸いです!


そして、日本のタンナー職人様、世界のタンナー職人様、心より感謝しております。


最後まで読んで頂きありがとうございます。



和歌山県和歌山市で活動しているLEATHER FACTORY THESEUS(テセウス)では、ハンドメイドレザークラフトにプライドとこだわりをもって、私一人ですべての工程を行い革製品製作しております。

主に財布や小銭入れ、ベルトなど受注生産しています。

セミオーダーやフルオーダーもご相談お受けいたします。

ご質問やご相談、製作依頼などお気軽にお問合せくださいませ。


おしゃべり大好きなので雑談もオッケーですよ!お待ちしています!

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